
モナ・リザ(出典:Public Domein, Wikipedia)

モナリザって、結局なんなん?
なんのために描かれたん?
有名なのはわかるんやけど、わからんことばっかりや。

まあまあ落ち着いて。
モナリザを知るには、歴史的背景から知った方が面白いの。
今日はルネサンスについて見ていきましょ。

「ルネサンス」か…ルネサンスと聞くと、なんやこう…
レオナルド・ダ・ヴィンチとかミケランジェロとか、
“偉人!芸術!すごい時代!”って感じやな。

そうそう、ルネサンスはね、人間レボリューションなの。
”神中心”の考え方から”人間中心”に変わろうとする革命!

人間レボリューション…?

ルネサンスが始まる前の中世ヨーロッパって、
ずーっと「神が一番!人間は罪深い存在ですー。」って教えられてた時代。
アートも人生も宗教のため、みたいな世界観だったの。

中世ヨーロッパでは何事も宗教一色だったんやな。

でも、あるとき人々がふと思ったの。
「私たちって憧れてるものを探求したほうがよくない?」
そこから始まったのがルネサンス。意味は“古代の復興”よ。
西洋美術といえばルネサンス、といえるほど、
ヨーロッパではルネサンスという現象が繰り返されてきました。
ルネサンスは、古典時代に憧れた人間が巻き起こした、
人生もアートも楽しむための大革命だったのです。
💡この記事を読むとわかること
- ルネサンスとは
- 生みの親・ジョットの作品の特徴は「人間的」
- 三代巨匠LMRは人間の心理、肉体美、調和と理想
- まとめ:ルネサンスは人間大革命
ルネサンスは人間が主役の大革命
ルネサンスはそれまでの中世ヨーロッパで栄えた様式(ビザンチン・ロマネスク・ゴシック)とは違い、
人間を主役にした大革命の時期でした。
- 時期:14世紀後半〜16世紀初頭
- 誕生地:イタリア(フィレンツェ)
- 意味:「復興」「再生」=古代ギリシャ・ローマへのあこがれ

一つずつ解説していくね。確かにルネサンスといえばモナリザで有名な
レオナルド・ダ・ヴィンチが有名だけど、実は生みの親がいるの。
ルネサンス生みの親 ジョット
ビザンチン→ロマネスク→ゴシックの宗教美術は常に神が中心。
ゴシックの終末に現れたジョット・ディ・ボンドーネは、
ゴシックとルネサンスの橋渡し的存在となり、「人間的美術」を体現しました。
美術界の表現を大きく変えたことから、ルネサンス生みの親として知られています。

*1 ジョット像(出典:Public Domein, Wikipedia)
人間的=立体感と感情に着目
ルネサンス到来までは宗教的だった絵が、
ジョットの手ではどのように「人間的」になったかを見ていきましょう。
中世の絵

*2 チマブーエ「荘厳の聖母」出典(Public Domein, Wikipedia Commons)
こちらは中世の代表的な画家 チマブーエの「荘厳の聖母」。
背景は黄金、人物は正面を向き、立体感がありません。

なんとなく冷たい感じがするのは、”神の世界”を意識していて、
人間らしさよりも「信仰」が重視されていたから。
ルネサンスの絵

*3 ジョット「聖母子像」(出典:Wikimedia Commmons)
対して、ジョットの絵を見てみてください。
聖母が座る玉座には遠近法的な奥行きがあり、
人物に立体感と感情が見られることがわかります。
チマブーエもジョットも「聖母マリアと幼子イエス」を描いた聖母子像を描いていますが、
表現技法が大きく違っているのです。

おお…中世の絵と比べると、なんとなく立体的に見えるかもしれへん…

チマブーエの絵に映る人は全員こちらを向いているのに対して、
ジョットの絵では感情を持ってそれぞれが聖母子を見つめているのよね。

*4 ジョット「聖母の埋葬」(出典:Wikimedia Commons)
もう一つ、ジョットの絵を見てみましょう。
こちらは1310年頃に制作されたテンペラ画で、マリアの死と埋葬の場面を描いています。
中央にマリアの遺体が描かれ、周囲に天使たちが集まり、彼女の死を悼んでいます。
注目ポイントは、キリストが新生児の姿でマリアの魂を抱えている描写。
マリアの体は埋葬されても、魂は天に昇り、
神の母として生き続ける、という意味を込めた描写。
この作品でも、人物の表情や動作に自然な感情を込め、空間の奥行きを感じさせています。

なんとなく人々が表したかったもんがわかってきた気がするで!
ルネサンスの三大巨匠LMR

ルネサンスはジョットが登場した「ルネサンス揺籃期」、「ルネサンス初期」を経て、
「盛期ルネサンス」を迎えます。
この時代に活躍したのが、
三大巨匠 レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ・ブオナローティ、そしてラファエロです。

頭文字がそれぞれL(Left)、M(Middle)、R(Right)になっとる…
なんや戦隊ヒーローみたいやな…
万能の天才|レオナルド・ダ・ヴィンチ

*5 レオナルド・ダ・ヴィンチ自画像(出典:Public Domein, Wikipedia)
一言で言うと「万能の天才」。
画家だけでなく、発明家・科学者・解剖学者・建築家・音楽家など幅広く活躍しました。
人間の表情や心理の描写に優れ、科学的観察も絵に採用したことで有名です。
『モナ・リザ』:神秘的な微笑みで人間の心理を表現

*6 モナ・リザ(出典:Public Domein, Wikipedia)
おまちかね「モナ・リザ」。レオナルドの代表作のひとつです。
「モナ」とはイタリア語で貴婦人をあらわす「マドンナ」の短縮形。
つまり、実はこの人の名前は「モナリザさん」ではなく、「リザさん」なのです。
レオナルドがこの絵を描いた理由や背景は諸説ありますが、
絹商人フランチェスコ・デル・ジョコンドから
妻モナの肖像画制作の依頼を受けたとする説が有力です。

モナリザのすごいところは、「謎の微笑」にあると言われているの。
見る角度によって表情が違って見える。
レオナルドが人間の心理のあいまいさを見事にとらえた結果なの。
情熱と力で魅せる|ミケランジェロ・ブオナローティ

*7 ダニエレ・ダ・ヴォルテッラ作ミケランジェロの肖像画(出典:Public Domein, Wikipedia)
「芸術の巨人」と称されるほどの情熱と体力の持ち主。
彫刻家・画家・建築家としても活躍しました。
ダヴィデ像

*8 ダヴィデ像(出典:Public Domein, Wikipedia)
「人間の肉体美」を絶妙に表現した一作。
旧約聖書の英雄ダヴィデを描いた大理石彫刻で、
フィレンツェ共和国の市民の守護と自由の象徴として制作されました。
高さはなんと約5.17mもあるのです。
優美と調和の化身|ラファエロ・サンティ

*9 ラファエロの自画像(出典:Wikipedia)
絵画界に調和と優美さをもたらした巨匠。
穏やかで社交的、人脈も広かったことから、多くの仕事を受注していました。
小椅子の聖母

*10 小椅子の聖母(出典:Public Domein, Wikimedia Commons)

三者三様の性格だし、それが芸術にも現れとる気がするわ!

そうね、性格でいうとレオナルドはミステリアス、
ミケランジェロは力強さ、ラファエロは調和、といった感じかな。
まとめ:ルネサンスは人間大革命
ルネサンスは、ただ古代を復興しただけの時代ではありません。
「神の世界」一辺倒だった中世から、人間の視点で世界を見ることを取り戻した、
人生も芸術も楽しむための大革命でした。
ジョットが見せた立体感と感情表現は、人間中心の美術の扉を開き、
レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロの三巨匠は、
それぞれの個性で人間の心理、肉体美、調和と理想を描き出します。
| 中世 | ルネサンス | |
| 世界観 | 神・宗教 | 人間 |
| 芸術の特徴 | 象徴的・装飾 | 人体・遠近法・現実的 |
| 重視したもの | 個人 < 神 | 個人 > 神 |
| 技術 | 宗教儀礼に沿った表現 | 古典文化の復興、科学も導入 |
| 主な支援者 | 教会や修道院 | 富裕商人 |

人間が人間らしくあろうとする。今も昔も願いは一緒なんかもなあ。

そうね。誰かの価値観ではなく、「自分自身の目で世界を見て表現する勇気」
そんな強さがルネサンスには見える気がするわ。

なるほど〜。
そういやあ、それまでの表現技法や信仰に反抗…
批判もありそうやけど、なんでそんなことができたんや?

パトロンとなる富裕層の支援があったの。支援者の理解や資金のおかげで、新しい表現に挑めたと言われているそうよ。
次回!今も昔も、権力者にゴマすってナンボ!?〜パトロンの力〜

…(ボケた…?)
本日登場した絵
*1 ジョットの肖像
作者:パオロ・ウッチェロ
制作年:1436ごろ(ジョットの没後およそ100年)
見られる場所:ウフィツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)
*2 荘厳の聖母
作者:チマブーエ
制作年:1280年ごろ
見られる場所:ウフィツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)
*3 聖母子像
作者:ジョット・ディ・ボンドーネ
制作年:1310年ごろ
見られる場所:ウフィツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)
*4 聖母の埋葬
作者:ジョット・ディ・ボンドーネ
制作年:1303〜1305年ごろ
見られる場所:スクロヴェーニ礼拝堂(アレーナ礼拝堂)(イタリア・パドヴァ)
*5 レオナルド・ダ・ヴィンチの自画像
作者:レオナルド・ダ・ヴィンチ
制作年:1512〜1515年ごろ(レオナルド 60歳前後)
見られる場所:トリノ王立図書館
*6 モナ・リザ
作者:レオナルド・ダ・ヴィンチ
制作年:1503〜1506年ごろ
見られる場所:ルーヴル美術館(フランス・パリ)

え、ルネサンスの作品がなんでパリにあるん?

いいところに気がついたね!レオナルドは晩年フランスで過ごしたの。
自分自身がフランス王に持参したのがきっかけね。
だけど、1911年、あるイタリア人による盗難事件が発生。
犯人には「イタリアにモナリザを返したい」という動機があったそうよ。
*7 ミケランジェロの肖像画
作者:ダニエレ・ダ・ヴォルテッラ
制作年:ミケランジェロの死後、1564年以降
見られる場所:ウフィツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)
*8 ダヴィデ像
作者:ミケランジェロ・ブオナローティ
制作年:1501〜1504年
見られる場所:アカデミア美術館(イタリア, フィレンツェ)
*9 ラファエロ・サンティの自画像
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1506年頃(21〜23歳)
見られる場所:ウフィツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)
*10 小椅子の聖母
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1513〜1514年ごろ
見られる場所:ナショナル・ギャラリー(アメリカ、ワシントンD.C)
